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重力を考慮した解析を行っても、 流体の深さに比例した圧力が得られないのですが、 解析に何か問題があるのでしょうか?

回答
圧力の桁落ちを防ぐため、ソルバーの仕様でそのような圧力分布になりますが、問題ありません。
 
流体の深さに比例した圧力分布(静水圧)は、自由表面の解析を除き、重力と釣り合うため流速に影響を与えません。そのため、自由表面の解析を除き、重力を考慮した解析でもソルバーは静水圧と重力を省いて計算します。こうする事で圧力の絶対値を小さくし、流速に影響する圧力勾配の計算で桁落ちを避けることが出来るからです。従って、圧力分布は静水圧が含まれない結果が得られますが、静水圧は流速に影響しないため、流速分布は妥当な結果が得られます。
 
なお、静水圧を含んだ圧力分布は、自由表面の解析以外でもプリの[条件ウィザード]-[発生条件]で全体積領域に[体積力]を設定し重力を体積力として明示的に付加する事で計算できます。
 
(例えば重力がZ方向下向きにかかっている場合は、[力を受ける方向]の「Z方向」にチェックを入れ、[力を表す式]で3番目の式(Fz = ρ * C * cos(V * t + B) * SCL)を選択し、Cを-9.8、VとBを0とします。)但し、この解析を行う場合には前述の桁落ちを回避するため、倍精度版のソルバーを用いる事を推奨いたします。
 
また、静水圧を含んだ圧力分布でも基準の取り方には自由度がありますので、大気圧を考慮した真空を基準点(=0[Pa])とする絶対圧力を計算する場合は、プリの[条件ウィザード]-[計算条件]-[圧力]-[圧力固定]で大気圧がかかる場所を指定し想定する大気圧(Patm:標準気圧ならば101,325[Pa])を設定して下さい。
 
但し、[境界条件]で[全圧規定]や[表面圧力規定]が設定されている場合に[圧力固定]を用いると圧力に関する条件が過剰となり物理的に妥当な解析が行えなくなるおそれがあります。絶対圧力の分布を確認するだけならば、[圧力固定]は用いずにソルバーで計算し、ポストの[変数登録]で想定する大気圧の値(Patm)と大気圧がかかる座標に出力されている圧力の値(P0)の差δP(= Patm - P0)を出力されている圧力(PRES)に加えた新しい変数(= PRES + δP)を登録し、それをポストで表示させる方法もあります。