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非定常解析の場合の時間間隔はどのように決めたらよいでしょうか。

非定常解析の場合の時間間隔はどのように決めたらよいでしょうか。
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    非定常解析では、ある瞬間での変化の傾向を調べ、それをもとに次の瞬間の現象を求めます。
    このとき「次の瞬間」までの時間を「時間間隔」といいますが、これをあまり大きくしすぎると予測された結果は実際の現象とは大きく異なるものになってしまいます。
    それを防ぐために「クーラン数」というパラメータを考えます。
     
    クーラン数 C を用いた時間間隔 ⊿t の決定方法は以下の通りです。
    No00012_1
     全要素について各軸方向に
       ⊿t=⊿L / U × C
        ⊿L : 要素幅
        U : 要素を通過する流速
     を求め、最小となったものを使用
     
    上記の式の、⊿L/Uは,要素の端から端まで流れが到達するのにかかる時間を意味しています。
    クーラン数は、それに掛ける倍数ですから、Cが1.0以下のとき、⊿tはどの要素においても流れが通り抜けてしまわない時間間隔、つまり要素1つ1つに確実に情報が伝わる時間間隔となります。
     
    クーラン数を用いて時間間隔を求めるには、上記のように流速を使用しますので、流れの全くない場では時間間隔が求まりません。
    流れの全くない場には、
     (1)初期計算の最初のサイクル
     (2)流れを解かない解析
    があります。
     
    (1)最初のサイクル
     [初期時間間隔]が使用されます。2サイクル目からは、クーラン数を使用して自動的に時間間隔が 求まります。
     
    (2)流れを解かない解析
     クーラン数による時間間隔の指定は行えません。[一定時間間隔]または[時間間隔指定]を使用してください。
    この場合は、 指定した時間間隔で計算を行いますが、時間間隔の目安には流れでいう「クーラン数」に相当するものとして「拡散数」を考慮することができます。
    「拡散数」を用いた時間間隔(流れの場合のクーラン数1に相当する時間間隔)は以下のように求めることができます。
     
     ⊿t < ρ×Cp×⊿L2 / 2λ
      ρ : 密度
      Cp : 比熱
      ⊿L : 要素幅
      λ : 熱伝導率
     
    クーラン数による制御のように、自動的に制御というわけにはいかないのですが、上の式で求めた時間間隔を意識して時間間隔を決定して下さい。
     
    最小の⊿tでは現象の進行に計算時間がかかり過ぎるという場合でも、上記により求められる時間間隔の数倍程度を超えると解析結果の信頼性は低下すると考えられます。
     
    注意事項
    ・初期計算で流れを解析し、リスタートで温度のみ/拡散のみを解くという場合には、初期計算で 求めた流れ場から時間間隔を計算できますので、クーラン数による時間間隔の指定が可能です。