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ScFlow におけるくしゃみの再現

エムエスシーソフトウェア株式会社
ご担当者様
突然のご連絡失礼します.名古屋大学大学院 情報学研究科内山研究室
高牟礼と申します.​
貴社製品のScFlowに関して,使い方の不明点等がありご連絡させていただきました.​
 ​
 現在,貴社製品のScFlowを使って人間のくしゃみによる飛沫の再現を試みております.1000mm^3の立方体空間​領域内で20×60mmの口を模した突起面からくしゃみを模した流れを発生させ,それによる飛沫の軌跡を再現しようとしています.
 ​しかし,飛沫を模した粒子が流れ場に沿って動きません.また,くしゃみを模した流れ場の再現にも苦慮しております.
 ぜひとも解決策をご教授いただけたら幸いです.何卒よろしくお願い申し上げます.
 名古屋大学大学院 高牟礼​
 ​
  • どのような条件を与えていて、どのようにうまくいってないのかが他者にもわかるような情報が欲しいと思いますが、とりあえずは、’粒子が流れ場に沿ってない’と判断した結果図と、口を模した吹き出し面に与えた境界条件と粒子の条件を教えてください。
  • エムエスシーソフトウェア株式会社
    ご担当者様
    お忙しい中,ご対応いただき誠にありがとうございます.
    ​名古屋大学未来材料・システム研究所 高牟礼です.
    現在ScFlowにおける解析条件についての画像を添付させていただきます.
    解析範囲全体を「Volume」と設定し,部品物性は非圧縮流体の空気にしています.
    画像①で示すようにピンク色の飛沫粒子が時間変化しても動かないため,粒子が流れ場に
    沿っていないと判断しました.飛沫粒子の設定に関しては​画像③,④示すように水と同じ
    密度の1マイクロメートルの粒子が複数回口から発生するように設定しています.
    口から発生するくしゃみに関しては,画像②で示すように0~16m/sの範囲で時間変化
    する風速を設定しております.
    画像⑤では基本設定,画像⑥では出力ファイルの設定を示します.
    計算格子数は計算時間短縮のため,100000個にしてまずは計算を回しています.
    口表面の境界条件は流れ境界設定で流速(面垂直流速),その他の解析領域全体は自由流入流出に
    設定しております.​
    ScFlowを数週間前からはじめて使用させていただいており,まだ不慣れな点が多々あるため,
    基本的な条件設定で間違いを起こしているかもしれません.
    ​お手数煩わせてしまい,大変恐縮ですが問題点等をご教授いただければ幸いです.
    何卒よろしくお願い申し上げます.
    高牟礼​
  • 頂いた情報から問題になりそうな点はいくつか推測できます。
    が、もっと明確に確認するには作成したプリのデータである.pphファイルを見せていただく方がベターのようです。公開データになってしまいますのでデータそのものを添付することは一般的ではありませんが、機密性がないようでしたら添え付けて欲しいと思いますが。
    .pph確認後、再度返答させていただきます。​
  • ご返信いただき誠にありがとうございます.
    .​pphファイルについてですが添付ファイルの容量が10MB以下の制限がついており
    容量オーバーで添付することができません.
    zipファイルで圧縮した場合でも​20MBになってしまうのですが,何かお送りする方法
    ございましたら​ご教示いただけますと幸いです。
    何卒よろしくお願い申し上げます.​
  • 了解しました。それでは可能な範囲で助言させていただきます。
    恐らく問題点は、質量粒子に初期速度を設定していないことだと思います。
    質量粒子は登録時に初期速度が設定できます。初期速度は’設定しない’がデフォルトになっています。
     
    初期速度を与えない場合は、静止状態で粒子は発生します。その後は周囲の流体からの力を受けているので静止したままではありませんが、どの程度移動するかは周囲の流速、粒子の密度、直径、発生する抵抗力などに依存します。条件によってはまったく動いていないような結果になる場合も当然にあり得ます。特に水のような密度が大きい粒子の移動には大きな力が必要です。
    (ちなみに質量を持たないマーカー粒子を設定する場合は、初期速度なしで周囲流体と一緒に移動します。)
    くしゃみをした場合の飛沫(粒子)は、吐く息の速度を持って口から出ますので、息の速度(吹き出し流速)と同じ速度を飛沫(粒子)は持っていると考えれると思います。
     
    まずは、今回の問題の原因が、初期速度にあるかどうかを確認するBriefテストとして息の吹き出し速度を一定にして、さらに粒子の初期速度を同じ値を設定して結果を確認してください。
    後、直接の問題ではありませんが、口表面以外の解析領域全体を自由流入流出にしているようですが、それでは流れが定まりにくいです。口表面と対面する面だけに自由流入流出、または静圧0Paを設定してください。その他の面は設定不要です。それらの面はフリースリップの壁になります。
    初期速度を設定ダイアログを添え付けます。
     Briefテストで粒子移動が確認できましたら、自身で息の速度や粒子の初期値など想定している条件を調整しながら進めてください。以上、ご参考まで。
  • ​ご対応いただき誠にありがとうございます.
    ご教示いただた通りに粒子に初期値を与えてシミュレーションを行ってみました.その結果,流れ場におかしいところがあり,試しにより簡単な条件でシミュレーションを回しました.
    今回は口から流速10m/sの面垂直の風が絶えず流れ続けるようにし,口に対面の面は自由流入流出にしその他の面はNoslipwallにしました.
    その結果,口から確かに風速10m/sの風は出ているのですがその風がうまく伝番していかないことが分かりました.(添付画像ファイル名:速度分布,速度ベクトル)解析領域全体は非圧縮流体の空気に設定しています(添付画像ファイル名:全領域).
    圧力分布をみると口から出た風が何かに押し返されているような高圧力な部分があることが分かり​(添付画像ファイル名:圧力分布),うまく伝搬していかない原因が分かりません.
    添付画像ファイル名:基本設定にシミュレーションを回した際の基本設定を明示します.
    また,メッシュ数は100万個にして回しました.
    うまく,10m/sの風が空気中に伝搬してくように設定するにはどのようにすればよいかご教示いただければ幸いです.
    何卒よろしくお願いします.​
  • メッシュをどのように作成したかは不明ですが、恐らく吹き出し口から下流に向かってメッシュが粗くなっていると思われます。
    下流に進むに従ってメッシュが粗い(要素を構成する面が大きい)と質量保存則により流速は小さくなるしかありません。それでこのような結果になっていると思われます。
    対策としては吹き出し口近傍のメッシュと同じような解像度のメッシュを下流方向にも作成することです。
    以下例です。
    図は吹き出し口から下流方向だけ八分木を表示させています。他のは非表示です。
    この例のように八分木を作成してください。八分木作成時に細かくしたい部分を「表示」ー「ラバーボックス」ー「ラバーボックス表示」などを使って選択して、「編集」ー「オクタント再分割(一回)」使って細かくします。
     
    後、直接は関係ありませんが、吹き出し口の対面の流出面以外の他の面はフリースリップで問題ありません。ノースリップだとデフォルトで2層の境界層が入りその面近傍のメッシュが細かくなります。あまり意味のないところは計算時間の節約でメッシュは粗くた方が良いと思います。
    ちなみに全体として100万要素も要らないと思いますが、適当にTRY&ERRORで結果と比較しながら得たい結果とメッシュの関係などを把握していってください。
    以上、ご参考まで。
  • お忙しい中,ご対応いただき誠にありがとうございます.
    ご教示いただいた通り,Z方向のメッシュをラバーボックスを使って2~3回細かくしました.
    しかし,風速の伝播に変化は特段ないです.
    口周周辺から10m/sの風は出てますが,急速に減速していきます.
    メッシュ以外で考えられる原因はございますか.
    何卒よろしくお願いします.​
  • 追記します.
    八分木ですがまずは全体を目標メッシュス数10万個で八分木を作成し,そのあと2~3回ラバーボックスを用いて
    Z方向のみ細かくしました.
    ご提案なのですが,pphファイルを見ていただきたいです.このチャットでは添付ファイルの容量不足でお送りできませんが,その他の方法で見ていただくことはできないでしょうか.
    何卒よろしくお願いします.​